桜の時期も過ぎてこれからは新緑の季節、今年はまだ寒いが朝はポカポカしてきた。だから今日は長袖のシャツ一枚で朝のお散歩にでかけた。こんな時期からそろそろ今年の秋冬服地の買い付けが始まる。ロロピアーナ、エルメネジルドゼニア、ドーメルなどのつぎの秋冬コレクションがどんどん当店に届いているのでその中からどれを選び、買い付けるか決めるとても大事な仕事だ。この時期はメーカーはまだ生産に入っていない。世界のテーラーやアパレルメーカーから受注を受けてから生産をはじめ出来上がった毛織物は8月にイタリアから日本に空輸される。9月からの秋冬シーズンに間に合わせるのだ。シーズンに入ってから買い付けたのではメーカーの在庫のありきたりな服地を割高に買う事となる。我々の業界で「プリセール」(前売り)と呼ぶこの時期に買い付けてこそメーカーごとの個性が光るすばらしい服地がベストプライスで手に入る。
ことし一月フィレンツェで開催されたピッティウオモで見たジャケット、スーツの傾向を思い出し買い付けに活かす。どんな素材を選ぶかが服地のバイヤーでもあるわたしの腕の見せ所。できあがるスーツ、ジャケット、パンツを頭の中で思い浮かべ選んで行く。32年前この仕事を始めてからつづいている楽しい仕事でロランバルト「テキストの快楽」ならぬまさに「テキスタイルの快楽」だ。父である先代社長はまだまだ青二才だった私に服地を選ばせてくれた。それで良い服地を選ぶ能力がわたしのなかに育って行ったのだと思う。亡き父に感謝。
各メーカーから秋冬新コレクションのパターンが届く。