6月16日(日)ミラノ/ロンドン
昨晩の雨がウソのような快晴のミラノの朝。ゆっくり支度してタクシーで都心から近くのリナーテ空港へ。15分程度も走らせれば着いてしまう。役員二人は搭乗手続きをしてもらい、トランク買い替えに走る。ロンドンは物価が高いイメージがあるので、できればイタリアで済ませておきたかった。
小さな空港でもありトランクがあったのはPIQUADRO(ピカドーロ)のみだった。イタリアブランドでデザインもそこそこで価格もさほど高くなかった。不安を抱えてロンドンに向かうのは嫌だったので大きなサイズのものを思い切って購入。スペースを借りて荷物を入れ替えし、古いトランクとはそこでお別れ。新しいトランクはピカピカでとてもスムーズに動いてくれた。

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新旧のトランク

ロンドンへのフライトはフラッグキャリアのBA。タラップから乗り込む際に、前に並んでいた白人の紳士がかぶっていたパナマハットが風にあおられ飛ばされた。身動きがとりやすかった自分が反射的に飛び降りて拾いに走った。すぐに追いつくはずが風のいたずらで帽子はくるくる回転し、面白いように転がっていった。漫画のような光景で気楽な短距離走のつもりが真剣な中距離走になってしまった。戻ってからアジア系の奥さんに感謝された。
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BA

離陸待ちの飛行機が集中していたらしく搭乗してから離陸まで1時間ほどかかった。エアコンがほとんど機能しておらず機内はサウナのよう。せまいエコノミーの座席に詰め込まれ苛立つ乗客たちでさらに機内はヒートアップして気分はゆでダコ。
2時間ほどでロンドン・ヒースローに到着。数時間前までピカピカの新品だったトランクが傷だらけで帰ってきたことにショックを受ける。しかし傷つかないようにラッピングしてもらうサービスは14ポンド(約2,000円)もかかる、とほほ。前回2時間待たされ悪名高きUKボーダー、今回入国審査はあっというまに終了。しかし記念に写真を撮ろうとしたらスタッフに消せとどやしつけれた。秘密も何にもありゃしないのに。
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消去を免れた一枚。
ヒースローのタクシー乗り場から約1時間、83ポンドかけてホテルまで。夕方のロンドンは快晴だった。前回もそうだったが、ロンドンといえばいつも曇天に覆われたイメージなので夏の明るいロンドンは意外な感じだった。ホテルは前回と同じシッスル・トラファルガー・スクエア。「ピカデリー・サーカス」「レスター・スクエア」「チャリング・クロス」3駅どこにも近い便利な立地。(これは丸の内・伏見・久屋大通の名古屋市営地下鉄3駅どこからも近いオーダーサロンタナカと同じ)
チェックインを済ませ、ドーメル・マニュファクチュアリング・リミテッド(DML)社のデビッド・スミス社長が到着するのを待つ。ドーメル・マニュファクチュアリング・リミテッド社は数年前までMINOVAという社名であり、もともと40年ほど前にイギリスで日本の生産管理のノウハウを活かしたモノづくりを行うため御幸毛織が設立した毛織物会社である生産背景を確かなものにすることが課題だったドーメル社の意向で、社名も変更し傘下に入ることになった。このような背景もあってミユキとドーメル社は提携関係にあり、イギリスやフランス出張時などは彼らの世話になっている。

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ミスター・スミスとえびせんべい

久々に再会するスミス社長は元気そうで手土産の愛知県特産のえびせんべいを笑顔で受け取ってくれた。
この日は他の当社メンバーや取引先百貨店バイヤー様もロンドンにいて、合同夕食会を行うことになっていた。A、B、そしてスミス社長と4名で会場のあるチャイナタウンへと歩く。途中でピカチュウの着ぐるみを発見する。公開中の映画のプロモーションのようだ。近くで見ると目の部分から「なかの人」が見える雑な造りであることが分かったがBは握手を求めようとしていた。
会場の中華料理店で円卓を囲み、賑やかに北京ダックなどを賞味する。隣席になったスミス社長に明後日、一人になってからの自分のスケジュールを伝えると、それはいいプランだね、との評価をもらえた。
食後はホテルに戻りラウンジにて4名で歓談する。当社に負けず劣らずDML社も苦労が多いようだ。
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ロンドンの中華料理店にて

6月17日(月)ロンドン 前半
早朝はトラファルガー広場周辺の出勤風景を観察する。もう夏なのに、そう寒いとも思えないがコート姿がちらほら。暑かったナポリとの違いに驚く。
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夏だと言うのに寒がりが多いロンドン市内
多くはバックパックにヘッドホン姿でスーツは着ていてもネクタイは少数派でポケットチーフも皆無に等しい。ロンドンのジェントルマンはもはや幻想なのか。
ホテルに戻って久しぶりのロンドンだというBに近辺の名所案内をする。ホテルの位置するトラファルガー広場からバッキンガム宮殿への入り口、アドミラルティ・アーチを周ってウエストミンスター寺院からテムズ川沿いの国会議事堂まで。ビッグベンは引き続き修復中で足場に覆われ時計しか見えなかった。
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アドミラ
ルティ・アーチ
本日の昼食は、前回のサヴィルロウ訪問で知り合った日本人の職人Sさんと約束していた。彼のおすすめの「西アフリカ料理」を4名で会食する。初体験のその料理は素材も彩りも独特で斬新だった。稀有な食体験である。
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What is this?  西アフリカ料理
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西アフリカ料理
彼は日本の服飾系専門学校で学びオーダースーツの会社で働いていたとのことだが、待遇には満足していなかったという。現在の勤務先の繁盛ぶりや日本とは比較にならない縫製職人さんの待遇などについて貴重な話を聞くことができた。
職場に戻る彼とサックビル・ストリートのドーメル・ロンドン支社まで一緒に歩いた。
ここからの案内は前回と同じく、パトリック氏にお願いすることになる。
約半年ぶりだが相変わらずマッチョなナイスガイである。役員が同席していることもあり、今回は特別に同社が保管している歴史的な生地見本などを見せてもらう。一番古いものでは18世紀のものまで!存在する。当社、御幸毛織の保存資料を思い出すと、現存する最古のものは昭和20年代のものだったはずで、それでも貴重だと感じていたが次元が違いすぎる。
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ドーメル社のアーカイブには1784年の文字が。
彼に連れられてサヴィルロウへ。最初に訪問するのは、やはりサヴィルロウ№1(一番地)のギーブス&ホークス。中国資本に変わっているとはいえナンバーワンの名に恥じない広大な売場面積を誇る。長身細身のスタイリッシュな黒人のスタッフさんの案内で前回は行けなかった2階の回廊も含め、重要文化財レベルの洋服の展示、そして軍服づくりをルーツとする同社の歴史についてじっくりレクチャーを受ける。
アジア系の客も多くいて、店は賑わっていた。

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セヴィルロウno1 ギーブス&ホークス
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ギーブス&ホークス店内
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ギーブス&ホークス店内

続いて3番地の旧アップル本社ビル。1969年にザ・ビートルズが最後に人前で演奏したというあの伝説の「ルーフトップ・コンサート」が行われた場所である。現在はアバクロの所有物件になっているのが音楽ファンとしては残念至極。

音楽ファンなら誰でも知っているルーフトップライヴはセヴィルロウで行われた。

次の目的地は200年以上の歴史を誇る「ヘンリー・プール」。日本でも昭和天皇陛下や白洲次郎氏などの有名な顧客を数多く持つ名店である。案内担当のセールスマネージャー、ローランド氏がなじみの客とおぼしき紳士の相手をしているため少し待つことになるが、店内のいたるところに展示されているパネル類(日本の皇室御用達の文面など)を眺めているだけでも退屈する暇がない。接客を終えたローランド氏の案内で地下の工房も含め店内を巡る。縫製に造詣の深いBは工房のミシン作業などを見て目を輝かせていた。そして厳重に3重に施錠された「アーカイブ・ルーム」へ。ウインストン・チャーチルを筆頭とする英国の要人、また各国のVIPの顧客情報が管理されている重厚な部屋である。これらの重要な資料を目にして役員二人も感銘を受けているようだった。
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ビスポークの総本山ヘンリー・プール
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ヘンリー・プール店内
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地下縫製室で工程を興味深く見る役員。
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厳重に鍵を掛けたアーカイブルーム
余韻に浸りながらサヴィルロウを出てゴールデン・スクエアの旧・ドーメルハウス前で記念撮影をする。
パブでスコッチでもどう?というパトリックの申し出を丁重に断り、Aはホテルに戻った。Bと自分はパトリックに服飾資材の店まで案内してもらってから彼と別れた。