良い素材を選びまとめて買うのが当店のやりかた。お客様にオーダーいただいたらロールになった服地を毎日切りだす。切るときには大きい裁断ばさみを使う。ふちがほつれる素材にはピンキングはさみといわれるぎざぎざしたはさみを使う。でも毎日毎日使っているとだんだん切れなくなる切れなくなると一年に一度どこからかおじさんがやって来てはさみ一丁いくらで店先で研いでくれる。私の店のあたりはいまは飲食店や風俗店が多いが繊維街だったので昔はお客さんが沢山いた。最近そのおじさんが来てくれなくなった。身体でもこわしたかなと心配していたが今日2年ぶりに顔を出してくれた。大きな裁断ばさみを何丁かとギザギザのピンキングばさみを研いでもらった。そうすると母親が帰って来て自分の包丁も研いでと頼んでいた。たまたま家にやって来た近所の人も研いでくれるならと裁断ばさみを何丁か頼んでいた。全部研ぎ終わっておじさんが家路につく事が出来たのは日もとっぷり落ちてからだった。
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一年に一度おじさんがはさみを研ぎに来てくれる。
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研いで切れるようになった裁断ばさみ(上)とピンキングばさみ(下)。はさみも1mモノサシも思えばもう40年は使っているはず。