5月になりました。月初め恒例の墓参は小雨。幸いにして一瞬だけ雨が止んでいてその間に墓石の掃除とご先祖さまへの読経ができました。

先祖のことを敬愛するのは、歴史、伝統文化を尊重するクラシックスタイルを愛好するのに似ています。メンズスーツは欧州の服を原型として英国王室から始まったと言われています。自分だけ突飛なスタイルをするわけではなく過去のディテールを尊重しながらすこしずつ王たちの個人的な好みをテーラーが取り入れスーツを仕立てていました。何代かの王室とウインザー公という傑出したダンディの出現。イタリア、フランスなどヨーロッパ、そしてアメリカ大陸への伝播で、現在のクラシックスーツが完成しました。女性のモードのように華やかな色合いがあるわけでなく、オトコのスーツ基本ネイビーかグレーかブラウン。選択肢の少ない色合いと、ディテールもほぼ決まってますが、基本羊毛の服地の質感と仕立ての良さで、大人のオトコの魅力を不思議にひきだすのが、クラシックスタイルのスーツです。

オーダーサロンタナカのスーツの歴史は祖父が名古屋の本町通りにあった紳士服地卸店に勤めて始まりました。父は戦後まもなく大阪の大手卸売商社に入社して紳士服の素材を学びました。わたしもオーダーメイドの仕事に携わって40余年、そんな累積が当店のスーツのクラシックスタイルの歴史を作ってきました。まさにご先祖さまのおかげ。

今日のおやつは近所の和菓子店美濃忠の「はつがつお」。初鰹のお造りに見立てたこの季節のお菓子。