先週の木曜日、日本最高のモデリスタ、柴山登光先生のアトリエに訪問。このブログで何度も書いているように柴山登光先生には当店のスーツ、ジャケット、パンツそしてコートすべてのパターン製作をお願いし、縫製の指導、監修もお願いしている。
今回もさらに当店のスーツをレベルアップすべく、相談とアドヴァイスをいただきにうかがった。都内にある先生のアトリエに入るとまず目に入ったのが美しいラインのブラックスーツ。アトリエにある服なので手縫いのはずだが、手縫いの服特有の「縫い手のくせ」「手仕事の味わい」のような痕跡はまったくなくあくまでスッキリ、バランス完璧。あまりに美しい仕上がりなので上手な縫製工場で縫ったのですかと先生にたずねたら、アトリエスタッフの手縫いだとのこと。モデリスタは通常のテーラーのようにひとりの顧客のためではなく、工場で多くの方のために作られる服の基本形、プロトタイプを作る。美しい形なのはもちろん、リピートいただけるような快適な着心地それだけでなく、縫いやすく、同じように生産されやすいフォルム、メソッドでないと工場での正確な再生産は望めない。工場での正確な再生産がモデリスタの大命題。手縫いのオーダーよりひとつレベルの高い洋服であることがプロトタイプには望まれる。アトリエにある洋服はまさにそんな洋服だった。服の未来をみつめる服とでもいえるかもしれない。

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この一番右の服の美しさにちょっとびっくり。

今使っている当店のパターンは馬の尻尾の毛で織られた本バス芯を縫い付けた毛芯を使うことを前提としてナポリのスーツをお手本に柴山先生が制作した。4年前に大きくバージョンアップを施したがさらに着心地をよくするため現在、柴山登光先生、縫製工場のスタッフ、毛芯のメーカーの三者で検討に検討を重ねている。そのヴァージョンアップ作業に当店も参加している。先生から直接、説明を聞き、これからのヴァージョンアップの方向性が理解できた。バージョンアップは次の秋冬に間に合うといいなと思っている。

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柴山先生がみずから縫った新しい縫製法のジャケットの着心地に驚く。この製法を近く取り入れる予定。

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先生の仕立てた服を着て先生と共にパチリ。